初心者のディベーターを救う団・公式ホームページ

1.1 ディベートの特徴

競技ディベートへの招待

これから皆さんが取り組む「ディベート」という競技は、議論を戦わせるゲームです。
しかし、議論といってもそれは「とにかく相手を言い負かせば勝ち」といったものではなく、以下のような特徴を持った形式の議論です。

1)明確な定義を持つ一つの論題をめぐって議論する
2)選手の立場は肯定側・否定側にランダムに分けられる
3)発言時間・順序・マナーなど規定されたルールに従って議論する
4)論拠を用いて証明された議論を用いる
5)ジャッジと呼ばれる第三者を説得することが目的である

*以上は全日本ディベート連盟(CoDA)HPの説明を参考としています


こうした特徴については以下で詳しく説明していきますが、ディベートがこのような形で行われるのは、競技として議論を楽しみながら議論の方法を学ぶことができるようになるためです。ディベートというと難しく身構えてしまいがちですが、使うのは皆さんが普段使っている「言葉」と「思考」だけで、特別な道具は(筆記用具などを除いて)必要ありません。段階を踏んで理解を進めていけば、誰でもディベートを楽しむことができます。実際、小学生からお年寄りの方まで幅広い層がディベートを楽しんでいます。この講座を通じて、皆さんもディベートを思いっきり楽しみましょう!

それでは、私たちがこれから取り組むディベートの特徴について、詳しく見ていきましょう。


特徴1:論題を決めて議論を行う

ディベートでは、議論するテーマ(「論題」といいます)を決めて、それについて議論を行います。つまり、事前に決めておいたテーマをめぐって議論を戦わせるということです。
このように論題を決めてしまうのは、議論の対象を決めることでそれに議論を集中させることができるからです。また、事前に論題を決めておけば、それについて議論する準備をすることができ、深い議論を行うことができます。

コラム 〜論題の種類〜
論題には以下のような3種類があります。

事実論題・・・ある事実の真偽について議論します。例としては「邪馬台国は北九州にあった」「200X年までに石油資源は枯渇する」などが挙げられます。
価値論題・・・ある価値観について議論します。例としては「野生の動物より動物園の動物の方が幸せだ」「援助交際は悪である」などが挙げられます。
政策論題・・・ある政策(提案)の是非について議論します。例としては「日本は死刑を廃止すべきである」「我が社は買収防衛策を導入すべきである」などが挙げられます。

事前に綿密な準備をして行う競技ディベートでは、政策論題を扱うことが一般的です。これは、議論が行いやすいということや、政策論題には事実論題や価値論題の要素も含まれているために幅広い教育効果を有していることなどの理由が挙げられます。政策論題は扱いやすい上に教育的効果も高いので、研修などでディベートを行う際には、政策論題を用いることが望ましいでしょう。


特徴2:ランダムな立場で議論を行う

ディベートでは、試合ごとに無作為に立場を変えて試合を行います。自分が論題について賛成の意見を持っていても、試合では反対側の立場で議論をする可能性があるということです。よって、ディベートの準備では、肯定・否定両方の立場で議論ができるように準備を進めます。
これは、自分の意見と一旦離れて、客観的な視点で論題と向き合うための工夫です。様々な視点から物事を考えるということは、自分の意見をより確かにするためにも有用です。どちらかが絶対に正しいというようなテーマは論題として採用されませんから、それぞれの立場から議論を考えることは可能ですし、そのように考える習慣をつけることで、別の立場を踏まえた説得的な議論を行う能力が身につくのです。


特徴3:ルールに従って議論を行う

ディベートでは、好き勝手に喋ってよいわけではありません。スピーチの順番や時間について規定があり、途中で相手の議論に野次を飛ばすようなことは許されません。また、公平に議論を行うため、議論を提出できる場面に制限があったり、根拠付けに用いる証拠資料の使い方に決まりがあったりします。
とはいえ、これらのルールはそれほど複雑なものではありませんので、簡単に理解することができます。この点で心配する必要はありません。


特徴4:根拠付けを伴わせた議論を行う

ディベートでは、主張する際には必ず理由を伴わせる必要があります。声の大きさやスピーチの丁寧さだけでは、ディベートの中で評価されることはありません。どれだけ説得的な理由で主張がなされているかによって勝敗が決まるのです。
特に、ある主張を言い出す側については、そのように言える理由をきちんと示す責任があります。これを「立証責任」と呼び、この責任を果たさない主張は評価されないことになります。これはディベートで最も重要な考え方ですから、後でも詳しく説明します。ここで押さえておいてほしいのは、ディベートでは「なぜ」そう言えるのか、ということが問われるのだということです。


特徴5:ジャッジを説得するために議論を行う

ディベートでは、対戦相手ではなく、第三者であるジャッジを説得します。ジャッジは、客観的な立場から両者の議論を判断し、勝敗を定めます。
第三者を説得しなければならないのですから、相手側を言いくるめるようなことをしても無意味だということになります。ディベートで勝つためには、客観的に説得力を持つ議論を用意しておかなければならないのです。



ディベートは、このような特徴を持った議論です。会議や討論会のようなものとは違うんだ、ということはイメージできると思います。次のページでは、このような特徴を踏まえて、ディベートの目的について説明します。ディベートの具体的な方法論についてはしばらく後になりますが、ディベートを学ぶに当たっては重要なことなので、軽くでも目を通しておいてください。

1.2 ディベートの目的

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