初心者のディベーターを救う団・公式ホームページ

はじめに 〜『初心者のためのディベート講座』のための講座〜

これからディベートに触れる皆さんへ

このサイトでは、ディベートを全く初心者のためにディベートを解説することを目的としています。この「初心者のためのディベート講座」は、そのための中心的コンテンツです。
しかしながら、読んでいただけると分かるとおり、管理人の能力不足や性格などから、初心者向け講座といいながら初心者にとっては消化不良になりそうな内容になってしまっているところがあります。それにはそれで意義がないでもないとは思うのですが、これでは初心者向けという目的を達成できておりませんし、何より少しでも期待してくれた初心者ディベーターの方々を失望させてしまいます。

そこで、このページでは、「初心者のためのディベート講座」の中から、特に重要でありながら分かりにくいと考えられる第1部の内容について、要約して簡潔にまとめています。時間に余裕があれば本編も読んでいただきたいのですが、このページを読むだけで「ディベートってこういう競技なんだ」ということが分かるようになっているはずなので、これからディベートを学ぶ皆様の助けになれば幸いです。

ディベートってどんな競技?

ディベートとは、定められたテーマ(論題)について肯定側と否定側に無作為に分かれ、ルールに従って議論を行い、第三者であるジャッジによって勝敗が決せられる競技のことです。≫本編1.1
ディベートは言い争いや口げんかと勘違いされがちですが、実際の目的は相手を論破することではなく説得的な議論を行い的確に意思決定を行えるようになるための議論教育であり、私たちはディベートを通じて議論することの楽しさを知ることができます。≫本編1.2
ですから、ディベートでは紳士的な態度が要求される同時に、より良い議論を行うために失敗を恐れず、失敗から学ぶという姿勢が大切になってきます。ディベートは「議論達者」のための競技ではなく、「議論に自信がない」人のための競技なのです。≫本編1.3

ディベートの試合は、「日本は死刑を廃止するべきである」といった論題について、それが肯定されたと考えられる(死刑を廃止すべきだと考えられる)場合に肯定側が、それが否定されると考えられる(死刑を廃止すべきであるとは考えられない)場合に否定側が勝利します。具体的には、肯定側と否定側がそれぞれ論題を肯定する理由(論題実行から生じるメリット――「死刑囚の人権が守られる」など)と論題を否定する理由(論題実行から生じるデメリット――「犯罪が増える」など)を提示し、反論や再反論なども考慮した上でどちらの理由が勝っているかという比較によって勝敗が決せられます。≫本編2.1≫本編3.2
ディベートの試合は、大きく分けて4つのパートからなります。最初に行われる「立論」では、肯定側・否定側がそれぞれの立場を支持する理由であるメリットやデメリット(場合によっては相手の議論への反論)などを提示します。立論の内容については、これに対する「質疑」が行われ、相手の主張内容などについて確認がなされます。この後、主要な争点についての反論や再反論が行われる「第一反駁」と、第一反駁までを踏まえて議論を総括する「第二反駁」という2回のスピーチがそれぞれの側からなされ、これらの内容からジャッジが判定を下します。なお、それぞれの場面では定められた人だけが話す機会を持ち、スピーチ時間も定められています。≫本編2.2≫本編2.3(試合例)

ディベートにおける議論の基本構造

ディベートでは、論拠を用いて証明された議論だけが評価の対象となります。すなわち、理由のない議論は説得力を欠くものとして、採用されないのです。このような前提からディベートの中で提示される議論に必要とされる要素を挙げると、その議論で何が言いたいのかという「主張」の要素・主張を裏付けるデータや分析などの「根拠」・根拠から主張が導かれるかという関連性を示す「推論」の3つがあります。例えば「Aは空手三段だからけんかに強い」という議論については、「Aはけんかに強い」というのが主張であり、それを裏付けるのは「Aが空手三段」だという事実が根拠として挙げられていることと、その根拠が「空手に通じている人はけんかにも強い」という推論によって主張を支える関連性を持つことによる…ということになります。≫本編3.1

肯定側は、論題を肯定する理由として「論題の採択でこのように良いことが起こる」というメリットを提示します。メリットを説明するためには、現在論題が存在しないことで生じている問題があること(内因性)、その問題を解決すべき理由(重要性)、その問題が論題の実行によって解決されること(解決性)の3点を証明することが求められます。
例えば、死刑を廃止する理由として死刑囚の人権擁護をメリットとする場合、「死刑は国家による殺人であるとともに拘留中の死刑囚を死の恐怖からノイローゼにしてしまうという意味で精神的・肉体的に残虐極まりない刑罰である(内因性)。このような刑罰は明白な人権侵害であり、たとえ犯罪者といえどもその人権は保障されるべきであるから、残虐な刑罰は人権侵害としてなくさなければならない(重要性)。ここで死刑を廃止すれば、国家による処刑やその恐怖がなくなり、犯罪者の人権が守られるようになる(解決性)」ということになります。このような3要素による「問題があるから解決しましょう」といった説明は、セールスなどでも見られる、説得的な議論方法です。≫本編3.3

否定側は、論題を否定する理由として「論題の採択でこのように悪いことが起こる」というデメリットを提示します。デメリットを説明するためには、現在論題が存在しないことで問題が生じていないということ(固有性)、論題の実行によって新たに問題が発生する道すじ(発生過程)、その問題の深刻さ(深刻性)という3点を証明することが求められます。
例えば、死刑を廃止すべきでない理由として犯罪の増加をデメリットとする場合、「現在は死刑の存在によって最も怖ろしい死を恐れる犯罪者が犯罪を思いとどまっている(固有性)。しかし、死刑を廃止すると犯罪によって死ぬことがなくなるから、犯罪組織において命令違反でボスに殺されるよりは殺人を犯して刑務所に入るというように、犯罪を犯すことが合理的であると考えて犯行に及ぶ例が現れて犯罪が増加する(発生過程)。このような犯罪は罪のない人を奪うものであり、国家の責務として最優先で防がなければならない(深刻性)」ということになるでしょう。≫本編3.4

本編を読むに際して

講座本編(第1部)では、以上のような内容をより詳しく述べていると同時に、試合の議論に適用される若干のルール(本編2.42.5)や議論の記録方法(本編2.6)を紹介しています。
また、第2部以降では、実際にディベートの試合を行うための準備方法や、試合でのスピーチ方法など、ディベートの実践過程を説明しています。

これらの説明は、ディベートという競技の方法論であると同時に、実際に議論を行う際にも応用な可能なテクニックとして理解することができるはずです。前述のとおり、ディベートというのは議論教育を目的としたものです。ディベートの試合は実際の議論とは異なりますから、これだけで実社会での議論が円滑に進むというものではありませんが、ディベートのテクニックには実社会での議論をより有意義にするためのエッセンスが詰まっています。
こうした観点から講座をお読みいただければ、(反面教師という側面も含めて)いろいろな発見があると思います。そのようなものとして講座の内容がお役に立てば、筆者としては望外の喜びです。

講座本編を読む場合は、以下のリンクから進むことができます。

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